登場から2年を経過しましたので改めてカングーの徹底解説をつらつらと。
カングーと言えばぱっと形が思い浮かぶほど日本で販売しているルノーの中では一番有名です。
背の高い2BOX、両側スライドドア、観音開き、カラフル・・・カングーならではのアイコンです。
フランス車ではこのような形状をフルゴネットと言い、シトロエンベルランゴ、
プジョーリフター、イタリア車ですがFIATドブロも国内に導入されています。
日本未発売ではフォルクスワーゲンキャディ、オペルコンボ、フォードトルネオなど
各メーカーから出ていますが、欧州ではカングーが不動のNo1を維持しているとの事。
商用ジャンルではLCV(ライト コマーシャル ビークル)とも呼びます。
最初のフルゴネットは1961年発売のキャトル(R4)をベースに翌年販売開始。
1989年まで生産が続けられ、その累計は270万台!

次は1985年発売のシュペールサンク(2代目R5)ベース。
日本ではエクスプレスの名前で知られています。

どちらもハッチバックに箱を取って付けたような段違いルーフデザインだったのが、
1997年発売のカングーから前席からルーフ後端まで一体の背高ワゴンに。
ベースモデルはBセグメントのルーテシア2。


当初は片側だけスライドドアでしたが、99年の小変更で両側スライドドアに。
2000年発足のルノージャポンはこれを2002年から日本に導入開始。
当初は1.4L+4AT+ハッチバックのみの設定で175万円。安い…
レモン・イエロー、スリーズ・レッドM(ワイン)、メチル・ブルーM(紺)、
オーシャン・グリーンM(濃緑)、コスミック・グレーM(シルバー)の5色。
人気が出てきたのは2003年のマイナーチェンジモデルから。192万円。
キリっとしたアーモンドアイ、1.6L/4AT+ハッチバックに加えて
5MTと観音開き(+3万)が選べるようになったのです!
あとパノラミックルーフ(+13万)も選択可能に。
レモン・イエロー、スリーズ・レッドM、カルメン・レッド(ソリッド赤)、
インテンス・ブルーM(青緑)、エコッス・ブルーM(濃紺)、マリン・ブルー(空色)、
ソレント・グリーン(ソリッド緑)、シー・グリーンM(薄緑)、グラシエ・ホワイト(ソリッド白)、
コスミック・グレーMの10色!






2004年、限定車でシトラス・グリーンM。前後ブラックバンパー、大型サイドモール、
専用シート生地で207.9万円。



2005年、好評のシトラスが「サウンドパック」再登場。前後フルカラーバンパー、
前後大型スピーカー、専用シート生地、専用マット装備。207.9万円。
同時に装備を簡略化した黒バンパーの「オーセンティック」も追加。AT190万円/MT179万円。
レア仕様でルーフ後端がガラストップで上に開けられる「ジラフォン」が
こっそり88台だけ輸入されていました。

2006年にさらに小変更でグリル変更(4本線から3本線)、シートバックテーブル、
アームレスト、燃費計、フルカラーバンパー追加。ここからリアゲートは観音開きのみに。
レモン・イエロー、カルメン・レッド、グラシエ・ホワイト、ジヴェルニー・グリーンM(濃緑)、
インテンス・ブルーM(青緑)、コスミック・グレーM(銀)の6色。AT219万円/MT208万円。



2008年にシート生地変更、ラゲッジにシガーソケット追加で日本仕様の最後となりました。
レモン・イエロー、カルメン・レッド、グラシエ・ホワイト、ミント・ブルーM(明るい青)の4色。
最終モデルはAT223万円/MT213万円。



日本では販売しなかったけど、モデルサイクル中にはロングバージョンのグラン・ボリューム、
ピックアップトラック、車高を上げたパンパ、4WDの4×4なんてのもあったようです。
欧州では日産からバッジを替えてキュビスターなんて名前で売られていました。
本国では2007年からカングー2に切り替えに。欧州統一規格の荷台「ユーロパレット(120x80cm)」を
そのまま搭載できるよう、メガーヌ2のプラットフォームを利用しサイズは大幅に拡大。
日本での発売は2009年から。1.6L/4AT229.8万、1.6/5MT219.8万。や、安い!
大きくなったカングーと言うことでこの辺りから「デカングー」の愛称がつき、
カングー1を「コカングー」と言うようになりました。
ジョン・アグリュム(黄)、ルージュ・ビフ(赤)、ルージュ・パボM(ワインレッドM)、
ブルー・アルジョンM(水色M)、ブルー・メタン(青灰)、ブルー・ボルガ(紺)、
ブルー・モントM(青M)、ヴェール・カクトゥスM(緑M)、ブラン・グラシエ(ソリッド白)、
ノアール・メタルM(黒メタ)、グリ・シデラルM(銀M)、グリ・ベージュM(ベージュM)なんと12色も!
オートエアコン、オートライト、オートワイパー、クルーズコントロール、植毛ラゲッジなどが付いて
当初は「こんなデカくて立派なのカングーじゃない!」と質素LCV原理主義者からの
厳しい声もありましたが、広さや便利さから少しづつ上向きに。
人気が出てきたのはその後の限定車攻勢。カラフルがカングーの魅力として受け入れられてきました。



元々お仕事用で使われる事が多いカングーは、ある程度まとまったロットで注文すると
どんな色でも塗装してくれるシステムがあるようで(営業車大量発注時にコーポレートカラーで納車など)、
それを利用して毎回ルノージャポンがテーマを決めて発注しているのです!
良い制度ですねえ~。
2010.6:クルール。フランスお仕事車のイメージで展開。
オランジュ・プロヴァンス(高速道路作業車)、ヴェール・パリ(市内公用車)、
ブルー・フランス(電気会社)の3色。

2011.7:クルール。レトロでカラフルな70年代ルノーサンク復刻カラーで展開。
オランジュ・アンダルー、ヴェール・ジャルダン、ブルー・クレールM、ローズの4色。
ローズは塗装現場から「本気か!?」と確認が入ったとか。

同年、内装がベージュになる小変更に伴い、マロン・ショコラMとブルー・エトワールM追加。
グリ・ベージュM、ブルー・モントM、ヴェール・カクトゥスM、ブルー・メタンがカタログ落ち。



2012:ナビライン。ナビ付お買い得車。
ブルー・アルジョンMとジョン・アグリュム。244.8万。


2012:上級グレードのイマージュ追加。
専用バンパー、専用シート生地、バックソナー、16inchアルミ付。1.6/4ATのみ、244.8万。



2013:ショコラ(イマージュベースの茶色内装、ナビ付)。ピエール・エルメとコラボ。
1.6/4ATのみ、244.8万。




2012.5:クルール。
レトロ調なヴェール・パステル、ベージュ・カマルグ、ブルー・エクスプレスの3色。

2013.2:クルール。花束をイメージ。
タンタシオン・ヴィオレ(誘惑)、クラージュ・ジョン(勇気)、カルム・ブルー(癒し)

2013:オーセンティック(装備簡略お買い得モデル)。1.6/4AT209.8万、1.6/5MT199.8万。
マニュアルエアコン、フォグランプなし、ルーフBOXなし、テーブルなしなど。
ジョン・アグリュム、ブラン・グラシエ、ルージュ・ビフ、ブルー・アルジョンM、
グリ・メタン、新色オランジュ・クレマンティーヌの6色。





2013:マイナーチェンジでPhase2に。ローレンス・ヴァン・デン・アッカーがデザインしたフェイス採用、
ラインナップは装備満載のゼン(1.6/4AT、234.8万)と、
装備簡略で黒バンパーのアクティフ(1.6/4AT:214.8万、1.6/5MT:209.8万)の2グレード。
ジョン・アグリュム、ブラン・ミネラル、ルージュ・ビフ、グリ・メタン、ブルー・エトワールM、
マロン・ショコラM、ノワール・メタルM、グリ・カシオペMの9色に。
なぜかクルコンと助手席ダイブダウンが無くなったがオーディオはBluetooth対応に。



2014:ナビ付価格据え置きのアクティフプラスナビを限定発売。
2014:サンルーフ付限定車コンフィチュール。ジャムをイメージ。
再設定のブルー・ボルガとルージュ・パボMの2色。249.5万。






2014:ゼンに1.2ターボ+6MT追加。241.5万。待望のタイミングチェーンエンジン!!


2014.10:新色の限定車クルールに対し、過去色をテーマに沿ってラインナップする限定車ペイザージュ発売。
ジョン・シトロン(Kan1の黄色)、ヴェール・カクトゥスM(Kan2ph1)、ブルー・アルジョンM(Kan2ph1)の3色。
Fバンパーに銀色アクセント付。
241.5万。

2015.6:南仏プロヴァンスをイメージした限定車ペイザージュ、オランジュ・エタンセルM(トゥインゴ2同色)発売。
1.6/4AT、1.2T/6MTとも241.5万。



2015:限定車ラ・ポスト発売。ジョン・ラポスト(フランス郵便局と同色)。
1.6/4AT、1.2T/6MTとも241.5万。


2015.10:限定車クルール発売。ローズマリーの花と葉をイメージ。
ヴェール・ロマラン、ブルー・アンサンシェの2色。
1.6/4AT、1.2T/6MTとも241.5万。



2016.1:限定車アクティフ ペイザージュ発売。ブルターニュ地方をイメージ。
ブルー・ヴィブラートM(Twingo1)、ヴェール・メール(Kan1のシー・グリーンM)、
タンタシオン・ヴィオレ(Kan2)、 1.6/4ATのみ220.9万。




2016.6:限定車ペイザージュ。バスク地方をイメージ。
ヴェール・シトロンM、ルージュ・パボMの2色。
1.6/4AT:241.5万、1.2T/6MT:247万。



2016:ゼンに1.2ターボ+ゲトラグ製乾式6速デュアルクラッチ「6EDC」追加。259万。
アクティフに1.2ターボ+6MT追加。235万。


2017.3:クルール発売。マルセイユの海をイメージしたブルー・マルセイユM。
1.2T/EDC:259万、1.2T/6MT:247万。


2017.3:限定車ウィズペット発売。イオンペット監修のペット用品とナビ付。
1.6/4ATゼンのジョン・アグリュムとブルー・エトワールMがベース。241.5万。


2017.4:限定車アンプロヴァンス発売。橙と緑のプロヴァンス風景をイメージ。
化粧品のロクシタンとコラボ。CABANA緑白シート付。
再登場オランジュ・エタンセルM、1.2T/EDCのみ。264万。



2017.8:カングーS MT発売。ZEN6MTにOZアルミ、FOCALスピーカー、ルーフレール付。
ジョン・アグリュム、ブラン・ミネラル、マロン・ショコラM、ノアール・メタルM
ブルー・エトワールM、ブルー・コスモスM、合計60台。
1.2T/6MTのみ。247万。



2017:限定車ラ・タント・イレーズ発売。森をイメージした新色の緑。
フランスのアウトドアブランド「ラ・タント・イレーズ」とコラボ。
CABANA橙シート、サイドステッカー、テント、雑貨色々付。
ヴェール・ジャッドM、1.2T/EDCのみ。274万。


2017.9:限定車フォーミュラエディション発売。F1カラーの黒x黄、OZアルミ、黒ルノーロゴ。
ノアール・メタルMにジョン・シリウスM挿し色。1.2T/EDCのみ。269万。




2017.10:限定車クルール発売。ハロウィンカボチャをイメージ。
オランジュ・シトロユM、1.2T/EDCのみ。259万。

2018:限定車ウィズペット第2弾。専用CABANAシートカバー、ナビ、ペット用品付。
ジョン・アグリュム、1.2T/EDCのみ。279.9万。





2018.5:限定車クルール発売。夏のアルプスをイメージした青と緑。
ヴェール・モンターニュM、ブルー・シエルM、1.2T/EDCのみ。259.9万

2018.6:限定車ヴァンタン発売。カングー発売20周年記念車。
専用シート生地(ロゴ入り)、専用ホイールカバー、ステッカー、バックソナー等。
ルージュ・パボM 1.2T/EDCのみ、265.9万。




2018.11:限定車プラティーク発売。仏語で実用的、の意味。FOCALスピーカー、センターキャップ付。
グリ・メタン、1.2T/EDC:261.9万、1.2T/6MT:251.9万。



2019.3:限定車クルール発売。キャプチャー1の人気色を展開。グリル下部が塗装される。
イヴォワール、1.2T/EDCのみ、259.9万。

2019.4:限定車エスカパード発売。「日常生活から離れて息抜きするためのおでかけ」の仏語。
装備は昨年のヴァンタンと同一。デイライト初採用。
マロン・ショコラM、265.9万。






2019.6:限定車クルール発売。バカンス地サントロペをイメージ。トゥインゴ3の人気色を展開。
ブルー・ドラジェ、1.2T/EDCのみ、259.9万。

2019.9:限定車クルール発売。景勝地コロンジュ・ラ・ルージュをイメージ。
オランジュ・コロンジュ、1.2T/EDCのみ、259.9万。

2019.10:限定車エヴァジヨン発売。仏語で日常からの開放、の意味。デュアルマット付。
ヴェール・ジャッドM(再設定)、1.2T/EDCのみ、264.7万。


2020.2:限定車クルール発売。色名は仏語で田舎風ブーケ、の意味。明るい緑。
ヴェール・シャンペトル、1.2T/EDCのみ、264.7万。

2020.3:限定車ペイザージュ発売。コルシカ島をイメージ。グリル無塗装、銀カバーバンパー。
イヴォワール、1.2T/EDCのみ、264.7万。

2020.5:限定車クルール発売。都会で働くカングーイメージ。グリル下部塗装。
グリ・アーバン、1.2T/EDCのみ、264.7万。

2020.8:限定車アシエ発売。グレード名は仏語で鋼鉄。グリル下部塗装。
グリ・アーバン(再設定)、1.2T/EDC:264.7万。1.2T/6MT:254.6万。

2020.8:限定車ラ・ポスト発売。フランス郵便局同色。
2015ラポストと違い黒バンパー、黒ドアミラー、グリル下部塗装。
ジョン・ラポスト(再設定)、1.2T/EDC:264.7万。1.2T/6MT:254.6万。

2020.10:限定車ペイザージュ発売。バカンス地サントロペをイメージ。グリル下部塗装。
ブルー・ドラジェ(再設定)、1.2T/EDCのみ、264.7万。

2020:限定車クルール発売。晩秋の黄色イメージ。グリル下部塗装。
ジョン・カーキ、1.2T/EDCのみ、264.7万。


2020.12:限定車パナシェ発売。仏語で「色の組み合わせ、多色の」の意味。グリル下部塗装。
ジョン・アグリュム、ルージュ・ビフ、オランジュ・コロンジュ、グリ・アーバン、イヴォワール。
全色再設定。1.2T/EDC:264.7万。1.2T/6MT:254.6万。



2021.7:限定車リミテッドディーゼル発売。初のディーゼル採用。デイライトとバックソナー付。
グリ・アーバン、ジョン・ラポスト、ルージュ・ビフ、ノアール・メタルM、
グリ・ハイランドM(銀/新色)、ブルー・エトワールMのほぼ復刻色で6色。
1.5ターボディーゼル+6MTのみ、282万。瞬殺売り切れでコロナ禍で中古車不足の際には
新車の1.5倍の価格で転売する中古車屋もありました。



・・・とまあ色々出てますねー!自分で書いててびっくりです。
さて、あなたのカングーはどこから!?
ちなみにカングー2も欧州日産からエンブレム変えてNV250の名前で販売され、
提携先のメルセデスベンツでも、シタンという名前で前回りと内装を
ゴッソリMB風に変えて販売されていたのですよ。
トゥインゴ→スマートフォーフォーと同じですね。
そんなカングー2も時代の流れに乗らざるを得なくなり、新型に切り替えに。
山盛り安全機能の複雑な配線を通すためや、EV化も視野に入れた新規シャーシ形状、
厳しくなる一方の排ガス規制、LCVとしてのさらなる積載性や頑強性の向上、
安全性の確保から、ルノー日産アライアンスによるCMF/CDプラットフォームを採用。
カングー2商用車では750kgだった最大積載量が1,000kgに!重たい荷物を積んで
高速道路を130km/h超でかっ飛ばしたり、未だに凹凸の多い田舎道を走り抜けたり、
峠道をグイグイ走るなど、モノコック構造シャシーなのに日本車とはケタ違いの
タフさが要求されているのが分かると思います。
ちなみにカングー3からは標準車カングーと、少し小さいボディのエクスプレスが
同時にラインナップされています。横幅177cmなので日本に合うと思うけどなあ。
で、カングー3。
2023年3月、デビューと同時にプルミエールエディション。
通常では選べないメタリック系に黒バンパーの組み合わせ。
シンプル受注生産のZEN、黒バンパーのクレアティフ、カラーバンパーのインテンス。
ガソリン395万円(ZEN384万)/ディーゼル419万円。
2023年10月、ヴァリエーションを意味するヴァリエテの名前で限定車、
グリ・アーバン。ガソリンのみの設定。


2024年2月、ヴァリエテ第2弾は新色ルージュ・カルマンM。
黒バンパーxスチールホイールが420万。
カラーバンパーx17inchアルミホイールが427万円。
どちらもガソリンATのみ。


2024年10月、限定車クルール ディーゼルMT。399万円。
カングー3初のディーゼルxMTの組み合わせで瞬殺売り切れでした。
サハラ砂漠の昼と夜をイメージしたカラー設定の
新色ベージュ・サハラとグリ・カシオペM(メガーヌ3設定あり)。
Newロサンジュ初採用、前後クリアランスソナー、ルーフレール、
オールシーズンタイヤ(ミシュラン クロスクライメート)付。


2025年1月、装備てんこ盛りで価格据置のリミテ。395万。
ガソリンATのみ。既存色のジョン・アグリュムとブラン・ミネラル。
OZアルミ、COXボディダンパー、ルーフレール、前後ブラックエンブレム、折り畳み自転車付。




追記
2025年5月、カングージャンボリーにてクルールディーゼル、AT429万円/MT409万円。
再々登場のオランジュ・コロンジュ。
昨年のクルールディーゼルと違いルーフレールはOPに。ATはフル液晶メーター初採用。
