カングーでよく聞かれる質問をまとめてみました。
杉浦の想像による所もありますので、曖昧な回答の所はあまり鵜呑みにしないように(笑)
Q:カングーの名前の由来は?
A:身もふたもない言い方ですが造語です。
一説には大事な荷物が運べる様をカンガルーのお腹の袋に見立てたという話とか
KANGOO→CAN GOOD→楽しいことができるクルマ、という話もありますが
定かではありません。

Q:観音開きが採用されているのはなぜ?
A:欧州ではハッチバックと観音開きが選択できます。どちらもメリットありますが、
観音開きのメリットとしては
・縦列駐車をするお国柄で荷物の出し入れをする際に後方まで下がらなくても開閉可能
・盗難が多いお国柄で少しだけ開閉できるので盗まれにくい
・商用メインなのでフォークリフトで荷物をつみやすい
・背が低い人でも開閉しやすい
・ワンちゃんが脱走しにくい・・・などがあります。
ちなみにデメリットとして
・雨除けにならない
・分割部分に死角ができ、後ろに白バイがいるとめっちゃビビる
・180°フルオープンだと横幅がかなり必要
・180°フルオープン時は強風にあおられ勝手に締まる

Kangoo3横向き、90度オープン

Kangoo3、180度フルオープン時
2002年国内初導入時に初代カングー(1.4L)の頃はハッチバックのみ。
2003年フェイスリフト(1.6L)に伴いハッチバックと観音開きが選択(+3万)
できるようになったら人気が集中し観音開きだけになりました。
変わり種としては2005年極少量(たしか88台だったはず)が正規導入された
ジラフォントップ(ルーフ後端が上開き)+観音開きとか、
2010年カングー2 BEBOPで片側ヒンジの90°横開きなんてのもありました。
観音開きは他のメーカーに無い日本仕様カングーを象徴する機構ですね。
あ、欧州ではシトロエンもプジョーもありますよ。








Q:何で黒いバンパーなの?
A:欧州ではほとんどが商用ユースのカングー。フランスでは縦列駐車で前後車両に
ガンガンぶつけながらスペースを空けて駐車するのは有名ですが、そういった時に
キズがついても目立たないし交換時に色塗らなくても良いのでコストもかからないから
黒バンパーが採用されています。
有名なのはフランス郵政公社ラ・ポストのCIカラーである黄色に黒バンパーのカングーですが
欧州では黒バンパーに企業カラーのカラフルボディのカングーがたくさん走っています。
つまり、黒バンパーこそカングーの真の姿と言えます。
ほら、だんだん「働く車のギア感」でカッコ良く見えてきたでしょ?
最近ではシエンタやフリードなども黒モールを使いカングーイメージを取り込もうとしていますね。
一時期、岡崎店でもカラーバンパーを黒バンパーにするカスタムが流行りました。


Q:カップホルダーは無いの?
A:無いことは無いですが、基本的にカップ置き場です。フランスではカフェで持ち帰りする際に
スタバみたいなカップを使うので、ペットボトルや缶ドリンクは需要が少ないようです。
後席テーブルのカップホルダーが単なる穴なのは紙コップやプラカップを挿すだけだからです。
たぶん、飲みたいなら車内で忙しなく飲むんじゃなく、カフェでちゃんと休もうぜ!って
考えではないでしょうか?


Q:後席がリクライニングできないのはなぜ?
A:背もたれを倒すとシートベルトが本来の効果を発揮できなくなるためです。
思いっきりリクライニングしてたら急ブレーキ踏んだ時にシートから滑り落ちるし、
横転時に身体をしっかり支えられないでしょ?3人分の可動式ヘッドレストが付いてたり
3人分の3点式ベルトが付いているのも全乗員の安全対策を考えたからなのです。
初代カングーから可動式ヘッドレストと3人分の3点シートベルト付きです。
国内専用ミニバンの後席シート、大丈夫か心配になります…。
後席ISOFIXアンカーはカングー2から。


Q:電動スライドドアは無いの?
A:ありません。基本お仕事用なので設定すらありません。盗難対策にもなるし開けたら速攻閉める!
ある程度重たいのは、小さい子が無理に動かしてケガしないよう大人がちゃんと閉めて下さい、とか
自分で周りの判断ができる年齢の子が引っ張れる重さで設定してあるとかないとか。
あとは両手で荷物を持った際に蹴っ飛ばしで閉められるように、って需要もあるのでは!?
(開ける時はドアハンドル必要ですが、閉める時はスライドドアのどこを引っ張っても押しても閉められます。)
Q:4WDは無いの?
実はカングー1の頃は設定があったんです。樹脂製オーバーフェンダー、ちと大きめバンパーで
車高が高くワイルドなデザインになっていました。フルタイム4WDでリアデフが付いたため
ラゲッジルームにスペアタイヤが設置されていました。
が、カングー2からは設定が無くなっていますので、おそらくあまり需要がなかったのでは。
というのも、最低地上高はカングー3が164mm、カングー2が170mmもあり、SUV並みの
クリアランスがありますし、欧州では湿度が低いため雪がサラサラなのでスタッドレスで
何とかなるようで。
日本は世界有数の豪雪地帯(青森札幌富山がTOP3)なので生活4WD需要が多いのは分かりますが、
地元で生活する分にはFF+スタッドレスで何とかなる!と思いますが、カングーで雪道ドライブの
経験がある方、いかがでしょうか?
こちら昔懐かしルノー4WD。


Q:何でこんなに色が多いの?
A:商用車がメインなので、ある程度まとまった数量を頼むと何色でも塗装してくれる制度があります。
日本でも郵便局の赤バンやタクシー会社の色々なカラーなどがありますよね。
「わが社のイメージカラーに合わせた紫色の営業車を30台発注したい!」とか
「ドライバー以外はぜんぶ荷室にして、ラゲッジルームには小物を収納できる棚が欲しい!」とか
「手頃サイズの冷蔵車が欲しい!」とか「ダンプトラック欲しい!」とかあらゆる要望に
対応可能な部署がカングーの製造工場に隣接されています。
その制度を利用してルノージャポンが特別カラーオーダーをしているとの事。
商用車ブースで塗装をするためバンパーは必然的に黒バンパーになります。
時々カラーバンパーの限定車(カングー2ヴァンタンとかフォーミュラエディションなど)も
ありましたが、これらは欧州でも展開されているモデルのためカラーバンパーになっています。
ちなみに過去にピンクを依頼した時は「正気か!?」と何度も確認が入ったとか。
カングー3の乗用モデル+快適装備大盛り+黒バンパー+観音開き+黄色は日本だけの仕様です。
国内展開されたカラーだけでも何色あるのやら…。


Q:どこで作っているの?
A:フランス北西部、ベルギー国境に近いモブージュで世界中のカングーは作られています。
兄弟車の日産NV250、MBのシタン→Tクラスも同時生産されているようです。
というか、現在ルノージャポンラインナップでフランス生産はカングーだけですねえ。
トゥインゴ=スロヴェニア、ルーテシア=トルコ、キャプチャー+メガーヌ=スペイン
アルカナ=韓国・・・おっとアルピーヌA110は創業の地ディエップで作られていますよ。


Q:2DINナビが付かないのはなぜ?
A:DINとはドイツ工業規格(Deutsche Industrie Normen)の略です。
1DINサイズ=180mmx50mmが2段分で日本のよくあるナビサイズです。
日本でいうとJIS規格ですね。一時期はドイツが産業規格の度量衡みたいに
扱われていたので、日本も例にもれず採用していました。
(5ナンバーサイズの由来もドイツ道路行政を参考にしたような話をどこかで見た気が・・・)
が、大昔から仲の悪い(と言われる)フランスとドイツですから、おそらく
「あんな規格を批准してやるもんか!」とつっぱねたのでは…と邪推しています。
あと、盗難が多いお国柄だと汎用品を装着するのはリスクが高いのでは。
今ではディスプレイオーディオ全盛期なのでDINサイズオーディオを希望するのは
日本国内マーケットだけになっているようです。
Kan1も2もCDオーディオはDINサイズっぽいけど一回りデカイです。



Q:カングー3はなんで可愛げがなくなっちゃったの?
A:いやいや、カングー1、2とも別に可愛さを狙ったわけでは無いのですよ。
大きな原因はヘッドライト。
初代と2代目はヘッドライト光源がハロゲンバルブです。原理としては豆電球と同じで、
後方に配したリフレクター(キラキラの反射板)に当ててから光を収束し明るくしています。
つまり、キラキラが大きくないとヘッドライトを明るくできないのです。その結果
大きなヘッドライトになりお目目パッチリで独特の可愛らしい顔つきになっているのです。



対してカングー3は光源がLEDになりました。消費電力が少ない=発電が減る=低燃費にも貢献、
小さい光源が鋭く光るので大きなリフレクター不要でヘッドライト形状を小さくできる、
部品点数を減らせる、ヘッドライト形状を薄くできるので空気抵抗を減らせるデザインにできる、
事故時に部品点数が少ないため飛散抑制にもなる・・・などメリットがかなり多いため、
今時の車両はLEDを採用してほっそいヘッドライト=キリリとした顔つきになっている・・・と思われます。
あ、個人的には丸いシールドビームが大好きです。
Q:幅でかくない?
A:商用ユースメインで設計されるカングーは荷台に欧州共通規格のパレット
「ユーロパレット(1200mmx800mm)」をスコーンと収納できるのが前提で設計されています。
そこから欧州の厳しい安全対策や走行安定性を考えると1800mm超の横幅にせざるを得ないのです。
横並びじゃなくて縦列駐車が多いので横幅を気にしないってのも理由かもです。
ドアの厚み、後席サイドステップの幅広さ、センターピラーの頑丈さなど日本車とは全然違います。
モノコックボディにMAX1000kgまでの荷物を積んで高速道路を130km/hでかっ飛ばすとしたら
日本車と求めるサイズがまったく変わってくるのです。たしかに日本国内ではかなり大きな部類ですが
室内の広さや後席大人3人着座でも窮屈感が無いのはこのサイズならでは。ガラスやミラーが大きく
死角が少ないので案外なんとかなっちゃうのです。
ちなみに日本でたくさん売ってるスライドドアのアレコレは欧州ではほぼ販売していません。
需要が無いのか走行安定性などの安全対策が合致しないのかまでは分かりませんが・・・。
最近の欧州で販売している唯一のスライドドアはレクサスLMくらいですねえ。
それ以外のスライドドアはトヨタ:プジョーシトロエンOEM、日産:ルノーOEMでラインナップしています。
ちなみに横幅カングー1860mmに対し、アルファード:1,850mm、ヴォクシー1,735mm、シエンタ1,695mmです。
Q:ガソリンとディーゼルどっちがおススメ?
A:お好きなほうでどうぞ!と言いたい所ですがスペック比較。
※車両本体価格と燃料費は2025年4月の価格から。
1.3ターボ4気筒ガソリン(H5H型)
馬力:131ps(96kW)/5,000rpm
トルク:24.5kgm(240N・m)/1,600rpm
燃費:WLTCモード市街地15.3km/L
車両重量:1,560kg
燃料:ハイオクガソリン
減速比:4.176(1/2/6/7速)、4.733(3/4/5速) ※ギア比はG/Dとも共通
カムシャフト駆動:金属製チェーン(交換不要)
年間10,000km走行時の使用燃料653L x ハイオク190円=124,183円
車両本体価格:395万円
1.5ターボ4気筒ディーゼル(K9K型)
馬力:116ps(85kW)/3,750rpm
トルク:27.5kgm(270N・m)/1,750rpm
燃費:WLTCモード市街地17.3km/L
車両重量:1,650kg
燃料:軽油+アドブルー給水(1,000km毎/1L)必要
減速比:3.879(1/2/6/7速)、4.235(3/4/5速) ※ギア比はG/Dとも共通
カムシャフト駆動:樹脂製ベルト ※5年もしくは60,000kmで交換推奨※
年間10,000km走行時の使用燃料578L x 軽油160円=92,480円
車両本体価格:419万円
トルクでかいし燃費が良いし燃料費が安いから断然ディーゼルっしょ!
と思う方が多いかもしれませんが、スペック比較するとこんな感じ。
高馬力=ハイスピード重視、高トルク=街中の乗りやすさ重視、という認識でいいかと。
一見ディーゼルのが高トルクなので乗りやすいかと思いきや、発生回転数は
ガソリンのが低いので、ガソリンのアクセルレスポンス良さを考えると
更に差を感じにくいように思います。
あとは前軸重量が90kg違うので、
パワーウェイトレシオ:ガソリン11.90kg/1ps、ディーゼル14.22kg/1ps
トルクウェイトレシオ:ガソリン6.50kg/1N・m、ディーゼル6.11kg/1N・m
減速比を見るとガソリンは対ディーゼルで少ないトルクを補う設定のようです。
となると、劇的に差があるとは言い切れない設定です。
ということで、乗った感じのお好みでいいのではないでしょうか?
差を分けるのはタイミングベルト交換の有無がネックになってきそうです。
ベルトと補器類同時交換推奨部品を計算すると工賃コミで20万前後・・・!?
うーむ、欧州では12万kmじゃなかったかなあ。
樹脂系ゴム系は高温多湿で夏冬温度差が激しい日本国内ではダメージが大きいので
早めに交換推奨は正しいとは思いますが、コストはかかりますねえ。
ディーゼルで高速道路を走ると20km/Lは行きます。前軸が重い=直進安定性に有利なので、
「ふだんはあまり乗らないけど、週末は長距離走って遊びに行くことが多い」方なら
エンジンやマフラー内部の煤も飛ばせるのでディーゼルの恩恵にぴったりハマるかと。
このところ、本国ルノー発表の新型モデルはディーゼル搭載がありません。
E-TECHフルハイブリッドが次世代パワーソースの主軸として活用するようで、
乗用車ディーゼルはこの先には乗れなくなる可能性が高いです。
評判の良いルノー製ディーゼルに乗れるのはもしかしたら短い間だけかも!?
ガソリンはまだ暫く続くと思われますが、次世代メインエンジンは1.2ターボ3気筒?
となると、この1.3ターボ4気筒もいつまで乗れるか分かりませんねえ。
ルノー岡崎ではご予約頂ければ乗り比べもできますので、ぜひお試しを。
他にご質問あれば受付けますのでお問合せ下さいませ!