エリックがキャトルに乗ってやって来る。
フランスから自走して来たキャトルのエンジンの調子が少し悪いらしい。今の車と違って構造が簡単なキャトルなら恐らくなんとかなる。なんとかならないのはエリックとのコミニケーションだ。フランス車を扱っているくせに自慢じゃ無いがフランス語が分かるスタッフは一人もいない(笑)。一抹の不安を覚えながらも少しワクワクしながらエリックの到着を待っていると、エリックより先に紹介者がやってきた。エリックの事前情報が少し増えていたので色々と伺った。フランスからユーラシア大陸を横断し本当に車で来たらしい。ロシアのサハリンから稚内に上陸し札幌に入ったらしい、この後は日本を縦断するらしい、やはり日本語は話せないらしい。色々伺ってもまだまだ謎が多い。
ユーラシア大陸を横断してやって来る位なのだから相当ワイルドな風貌を予想していた。多分髭モジャでピチピチのタンクトップからは胸毛がはみ出ているような大男なんだろうな、きっと。
程なくキャトルがやってきた。ルノー札幌のお客様駐車場に停まったオレンジ色のキャトルの外観は中々ワイルドだった。リベット留めオーバーフェンダーにスペアタイヤを載せたルーフキャリア。ヘッドライトには飛び石からガードする金網のカバーが付いていた。ユーラシア大陸を走破して来た冒険旅行の匂いがぷんぷんする。いよいよエリックとのご対面だ。
キャトルから降りてきたのは私の予想を覆しどちらかと言うと華奢で優しそうな男だった。
なんて言って挨拶をしたら良いのだろう?やっぱり「ボンジュール」なのか?いやいやいや、発音も自信無いしちょっと気恥ずかしい。輸入車を扱っているくせに全然グローバルじゃ無い自分。至って普通に「こんにちは!」にした。記憶が定かでは無いがエリックも「コンニチワー」だったような気がする。会話が出来た訳では無いが気さくな雰囲気が伝わってきた。
フランスから来た男〜③に続く