【NEW】アルカナR.S.LINE、Debut!!【解説E-TECH HYBRID編】

2022.03.11.Fri INFO

さてさて第3弾。
今回最大のアピールポイントであるパワートレイン「E-TECH HYBRID」でございます。
正直メカ的な説明は完璧に理解しきれてない部分もありますので、間違いあったら指摘して下さいm(__)m
動画見た方が早いです(笑)

ちなみにこのシステムは、ルノーのエンジニアがレゴブロックを組み上げて
構想したものが元になっています。すごいなレゴテクニック。



えー、今更ハイブリッドぉ~?と言わずに。ここにはルノーの思慮深い戦略が隠されています。

まずおさらい。
ハイブリッド=混合という意味なので、自動車業界では2種類の原動機を使用したパワートレインの事を
指すのが一般的です。言わずと知れたトヨタプリウスは世界初のハイブリッドとしてもう20年以上の
キャリアを持つ大先輩です。

ひとくちにハイブリッドと言っても色んな種類があります。
エンジン=低回転は燃費が悪いけどガソリン給油で走りにも充電にも使え、コスト安。
モーター=最初から最大トルクが出るのでパワフルなスタートが可能な一方、高速道路の走行には重量と
空気抵抗の抵抗が大きくなり不利。大きなバッテリーが必要でコストや重量がかさむ。
・・・というのが前提です。

欧州車で多いのはマイルドハイブリッド。VW等が採用する48Vマイルドハイブリッドや、スズキの
Sエネチャージなどが挙げられます。燃料消費の多い発進時のみ小さなモーターがアシストするもの。
メリット:コスト安、パワーの無いエンジンでもスタートがスムーズ
デメリット:電気だけの走行不可、燃費がめっちゃ伸びる訳ではない


以下、マイルドハイブリッドに対してストロングハイブリッドとも言われるシステムです。

シリーズ(直列)式ハイブリッドは、エンジンは発電だけに徹し、その電気をモーターだけのために使います。
国産だと日産ノートやセレナの「e-power」、ダイハツロッキーの「e-SMART HYBRID」などです。
メリット:モーターによる力強く反応の良い加速性能。
デメリット:高速走行時はパワーが足りず発電量より消費電力が多くなりエンジン燃費が伸びない。

一般的にハイブリッドと言えばプリウス、アクア、ヴェゼルなどのエンジン+モーター併用のもの。
モーターだけの走行、モーター+エンジン、エンジンメイン、と状況に応じて変動するので
シリーズ・パラレル(並列)式と呼ばれています。
トヨタ製THS-IIは発電機とモーターを個別に搭載。エンジン(走行と給電)とモーターの出力を
遊星歯車により細かく配分して走行する燃費の良いシステムです。
ホンダ製e:HEVも同様。基本はモーターで走り、加速力が必要な時にエンジンがアシストします。
メリット:とにかく燃費が良い
デメリット:複雑なシステムなのでコストが高い、燃費重視なので加速感がそれなり。CVT経由なので
(トヨタは電気式CVT、ホンダはCVT)思ったような加速をしてくれない。


PHEVはこのシステムにどでかいバッテリーを付けて充電(プラグイン)するので、よりモーターで
走れる領域を増やしたものです。デメリットは大きなバッテリーによるコスト高。
FCVは水素を分解し電気を発生させ、モーター走行するものです。デメリットは水素充填の手間と
水素タンクの大きさと重さです。


そこでルノーが考えたのがE-TECH HYBRID。F1由来テクノロジーをフィードバックした
「走れる」ハイブリッドです。燃費は輸入車最高の22.8km/L!


メインモーター:馬力49ps(36kw)/トルク205Nm
 ※ミッション直結
 ※ハイブリッドモード時は駆動モーター
 ※回生時は駆動用バッテリーを充電
サブモーター:馬力20ps(15kw)/トルク50Nm
 ※ハイボルテージ・スターター+ジェネレーター(HSG)
 ※エンジンの始動・停止(スターターモーター役)
 ※ドグミッション歯車の回転数同期
 ※回生時は充電(ジェネレーター)し駆動用バッテリーを充電
1.6L自然給気エンジン:馬力94ps(69kw)/トルク148Nm
 ※最も高効率の1500rpm~4000rpmで作動し駆動とバッテリー充電
 ※タイミングチェーン採用、エアコンやウォーターポンプも電動なのでドライブベルト不要
 ※駆動バッテリー不足の時は始動時にもエンジンがかかり充電する
1.2kwh/250Vリチウムイオンバッテリー
 ※ラゲッジ下に収納、重量37.5kg
 ※8年16万㎞保証付
発進は100%モーター、初速から最大トルクが出るので発進も静かでスムーズ。
 ※クリープ現象無し、アクセル踏まないと進みません。訂正、クリープ現象あります。
 ※30km/h以下では歩行者に接近を知らせる走行音が出るそうです。
街中の80%をモーター走行可能。EVモードの最大航続距離は3km、最高速度は70~75km/h。
通常の12Vバッテリー(ラゲッジ搭載)は車内システム維持に使用、走行中こちらにも充電されるらしい。
 ※12Vバッテリーが上がったらリチウムイオンバッテリーが満タンでも始動不可。4年交換推奨。
 ※その際は通常のジャンプケーブルで接続(端子はエンジンルーム内)、システム始動可能。

パワーが必要な時にエンジン始動、状況に応じてモーターとエンジンを使い分けるのは同じですが、
これを「電子制御ドグクラッチマルチモードAT」経由で走るのが最大のポイント!
カングー1のトルクコンバーター4ATでも無く、メガーヌ3HBph1のCVTでも無く、
ルーテシアのデュアルクラッチでも無い、まったく新しいトランスミッションです。



通常のトランスミッションはクラッチやトルクコンバーターなどの「滑らせながら繋げる」
機構が間に入りますが、E-TECH HYBRIDはクラッチもシンクロ機構も無しで軽量コンパクトに!
ドグミッションは犬の歯のような凸凹凸凹がガッチリ噛み合う形状から名付けられた歯車で、
素早く確実に高効率にギアが噛み合うけど、衝撃が大きくレースシーン以外では使えない代物です。
ルノーはこの凹凸歯車をサブモーター(HSG)でアクチュエーターをタイミング調整をし、
素早くスムーズ且つガッチリとエンジンの力を伝達できるようになっています。



つまり加速が途切れずエンジンをしっかり使い切れる訳なのです!
今までのハイブリッドが苦手にしていた高速走行もモーターとエンジンで
レスポンシブにガンガン加速していけるようになるのです。

ギアはメインモーターに2速+エンジンに4速あり、ギア比の組み合わせは12通りにも!
(ちと複雑な変速システムなのでなぜ12通りになるのかは割愛)

アクセルオフ時やブレーキング時には積極的にモーターを逆回ししてエネルギー回生。
走行しながらエンジンに頼らずバッテリーを充電します。
シフトレバーをDからBモードにすると回生を多めに(エンジンブレーキが強くなる)するので
EV独自のアクセルだけでコントロール可能なワンペダルドライブもできるようになります。
 ※完全停止まではしないようです。

この辺りの巧みなパワーマネジメントは燃費とパワーとコンマ1秒を競うシフト操作を要求される
F1技術からのフィードバックです。アルピーヌF1マシンには誇らしげにE-TECH の文字入り。
ドグミッションも元々F1トランスミッションからのアイデアなので、信頼性も高いハズ。



お偉いさん方はさも電気自動車こそが次世代スタンダードだ!と言わんばかりの状況で、
各メーカーとも規制に向けて積極的に電気自動車の開発を進めています。
確かに走行時に排気ガスを発生しないので環境性能が高いといえますが、
それ以前の製造時に、高額で重量のかさむバッテリー、高効率モーター材料のレアメタル、
廃車時にリサイクルされるバッテリーの再生ルート、充電スポットなど問題が山積みです。
大量のリチウムイオンバッテリーは車両火災時に鎮火しにくい、数日後に再発火可能性あり
などでEVは地下駐車場禁止という国も出ています。

さらに大問題なのが発電所をどうするか?ということ。今回の紛争により露見した
天然ガスの供給が絶たれた場合、欧州は一気に電気不足になります。
火力発電を増やす、原発を増やすなどのニュースも見受けられました。
日本国内でも夏場の電力不足がニュースで出るくらいの状況なのに、EVばかり
増やしたらどう考えても電気が足りなくなります。
石炭や重油での火力発電だとEV走行で減らしたCO2を大量排出する事になり本末転倒だし、
太陽光、風力、水力だと全てを賄うほどの発電量は出ていません。
軽量で高効率な全固体電池や超小型インホイールモ-ター、走行中ワイヤレス給電などの
画期的な技術のブレイクスルーが無い限り安心して全員がEVには乗れない気がします。

この安心できる時代が来るまでにルノーが次世代パワートレインとして考えているのが
今回のE-TECH HYBRIDです。基本はモーターで走り、充電不足ならエンジンで発電、走行。
今までの内燃機関だけよりも燃料消費・CO2排出量を75%低減。EV走行を増やすための
プラグインへのコンバートも容易です。コスト増を避けるため日本仕様には設定なし。

本国ではルーテシア、キャプチャー、メガーヌにもE-TECH HYBRIDは設定されています。
替りにディーゼルエンジンは窒素酸化物の多さから無くす方向のようです。
(3/8本国発表の新モデル オーストラルはディーゼル設定無し)
要はディーゼルエンジンの替りになるパワートレインなんですね。

電気自動車はどうすんだ!って声もあるかもしれませんが、実はルノーは
欧州では相当数のEVを販売しています。これは全て100%EVですよ。
ルノーのEVはZ.E.(Zero Emission)のサブネームが付きます。

左からTwizy(前後タンデム2シーターのシティコーミューター)、
トゥインゴZ.E.(元々EV前提のフロアを厚く取ったRR構造、)、
Zoe(2012年から発売して今は2世代目、内燃機関設定無しの100%EV)、
カングーZ.E.(商用バン)、マスターZ.E.(さらにでかい商用バン)。
ZoeはEU圏内EVランキングトップをひた走っているベストセラーです。
・・・最近はテスラ躍進がスゴイのでその座を奪われつつありますが。
つまりいつでもEVのみに移行できる準備も相当前からされているのですね。

紛争による天然ガスの規制、原油高、半導体不足など問題は山積みですが、
E-TECH HYBRIDは来るべきSDGs社会に限られた資源で対応できる存在なのです。

今さらハイブリッド、ではなく、今だからこそできるルノーしか作れないハイブリッド。
まだ運転した事ないのでインプレッションは5月以降になりますが、環境対応車の
走りに不満を持っている方は、ぜひE-TECH HYBRIDをお試し下さい。
導入をお楽しみに!!



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